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学術変革領域研究(B)「感染症の人間学」

新型コロナウイルス感染症のパンデミックは、
感染症が人間の生に甚大な影響を与えうることを、強い痛みを伴いながら教えてくれるものでした。
通常の社会生活が妨げられたことで、私たちは、これまでの生活が極めて危ういバランスの上に成り立っていたことを知りました。
同時に、そのバランスが医療者を含めた多くの人びとの営みによって支えられていること、
また、私たちの些細な行動の変容によってそのバランスが変化しうることも学んできました。

このパンデミックは、人文諸学が依拠してきたこれまでの前提を大きく揺るがすようなものでもありました。
変異を繰り返しながら、今もなお私たちを翻弄し続けるウイルスの存在は、医療や政治、
都市やケアのあり方だけでなく、他ならぬ「人間」のあり方についても、
再考を迫り続けているからです。

そこで本研究領域では、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを世界各地の人びとがどのように
経験してきたのかについて、従来の人文諸学の枠を越えるような形での記述と検討を行うことを目指しています。
文化人類学者と歴史学者を中心としながらも、
それぞれに隣接分野や医学の研究者が含まれる四つの研究計画を組織し、
それぞれが交差する地点で革新を起こすことにより、
真に感染症に強い社会を構想するための総合知を作り出していくことを目的とします。

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